ブログ

ウジイユタカ

【ユタカの部屋 vol.37 鈴木雄一郎氏】

ウジイ(以下ウ):まずお名前も含めて自己紹介からお願いします。

鈴木(以下ス):株式会社富士スポーツと株式会社ローカルブライトをやっております鈴木雄一郎と申します。

ウ:富士スポーツさんの歴史をお聞かせ下さい。

ス:はい、富士スポーツは私の祖父が創業した会社で、尾花沢と村山に店舗を構えています。尾花沢店では私の父が社長を務めており、村山店は私の父の弟が出店しました。そして、その村山店の経営を引き継いだのが私です。

ウ:社長業はまだお父さんがやっているんですか?

ス:いいえ、父現在引退しております。私のいとこが現在社長で、私は専務として経営に携わっています。尾花沢店はクロスカントリースキーの専門店として知られており、総合スポーツ用品も取り扱っています。村山店は、クロスカントリースキーを扱っていない地元密着型の総合スポーツ店となっています。

ウ:富士スポーツさんでは、インターネット事業やECサイトを通じた通販事業をかなり拡大されたと聞いていますが、その経緯や軌道に乗せるための取り組み、現在の状況について教えていただけますか?

ス:もともと私は東京で就職していました。富士スポーツは継ぐ必要ないと親から言われてたんですが、母が末期がんにかかり、余命半年と告げられました。私は東京にこだわりはありませんでしたので、地元に戻ることを決意しました。ただし、小さな町のスポーツ店が今後売上を伸ばすのは難しいという認識があり、ネットショップを立ち上げることが全国や世界で売上げをつくり、商売を成功させる道だと考えました。

また、同様の地方のスポーツ店でネットショップを通じた売上が伸びている例を知っており、軽い気持ちで挑戦しました。日中は店舗で販売や外回りの仕事を行い、夜にはプログラミング作業を行い、ネットショップを開設しました。

2007年の冬に帰郷し、最初に開設したのはYahoo店で、2008年4月に富士スポーツYahoo店をオープンしました。その後2011年2月に楽天市場店をオープンし、さらに様々なオンラインストアを展開してきました。

2014年8月には静岡に物流倉庫を設立し、全国への発送を開始しました。静岡は日本の中央に位置しており、大都市圏への素早い配送を可能にしました。しかし、静岡の物流倉庫はアウトソーシングしていましたが、人件費と物流費が高額であったため、コロナ禍を機に村山に倉庫を再び設け、現在はすべての出荷を村山から行っています。

ウ:ざっくりでいいので、リアル店舗の販売とネットショップでの販売の割合ってどのぐらいですか?

ス:富士スポーツの売り上げの8割がネットショップになっています。リアル店舗の売上げが以前と同じだとすると、5倍ぐらい増えています。村山店だけでいったら10倍になっていますが、富士スポーツ全体で考えると5倍になります。

ウ:そこまで規模を大きくするに当たって必要だったものは何だったですか?

ス:今いろんな事業者さんからネットショップを作りたいというご相談をいただいてるんですけれども。やっぱり最初って実店舗がありながらネットショップで担当者をつけなきゃいけないっていうのが現状でして。

私も当然店をやりながら、学校での営業もしながら、ネットショップを立ち上げました。店を8時に閉めてそこからネットショップを自分で作ったってので、なんだかんだ言っても気合と根性がいることです。私は最初からプログラミングとかネットショップを知ってるわけじゃなくて、こっちに帰ってきてから勉強をしたので、そういうところもやっぱり負荷がかかります。そこを諦めない気持ちっていうのが重要なのかなって思います。

その後はやっぱり売り上げが増えるにつれて、一緒に仕事をする仲間がどんどん増えて、そういう仲間と楽しいビジネスをしながら、会社で共有できるやりがいみたいなところも実感として上がってくる。頼れるスタッフがどんどん増えてったっていうのも、ある程度売り上げが行くようになった要因だと思ってます。

ウ:富士スポーツとしての通販事業が確立したというところで、今度は「ローカルブライト」という会社を別事業として立ち上げたということですね。そのローカルブライトのご紹介をお願いします。

ス:ローカルブライトですが、元々は富士スポーツのインターネット事業部があってそこが独立してできたのがこのローカルブライトです。

さきほども申し上げましたとおり、富士スポーツではヤフーや楽天、アマゾンなどでeコマースを使ってネットショップを運営するのが得意でした。

たまたまお声がけいただいたのが「ふるさと納税」です。寄付を集める要素は大きいのですが、物を売る形式は同じだと言えます。

いろんな方から、「ふるさと納税」を通じて地域を支援できないかというご相談を受け、これは十分に実現可能だろうという話になりました。そのときはまだ富士スポーツの一つの事業部として、村山市でふるさと納税のお手伝いさせていただいておりました。その後スポーツ店と、eコマース、プログラミング、デザインなどの要素を考えると、これらを別の会社として分離する方が良いと考え、ローカルブライトを2020年8月に事業部から完全に独立させました。

ウ:ローカルブライトの事業をご紹介願います。

ス:ローカルブライトは三つの事業を展開しており、一つはコンサルティング事業です。ネットショップの運営をサポートし、特にコロナ禍で需要が増加したことから、さまざまな事業者に対して、ネットショップで売上をどう伸ばすか、商品をどう売り込むかなどのお手伝いを行っています。これは基本的には富士スポーツで培ったノウハウを他の皆さんに提供し、一緒に売上を増やしていこうという取り組みです。

もう一つはふるさと納税事業で、各自治体と契約し、寄付額を増やす方法や、の事業者の売上を伸ばす方法を提供しています。

そして、最後の一つはデザイン事業です。当社には芸術系大学出身者が8〜9名在籍しており、デザインにも力を入れています。ホームページや他のプロジェクトのデザインを行い、さまざまな事業者に貢献しています。またプログラマーも多く在籍しており、ホームページのフロントエンドからバックエンドまで幅広いプログラミングスキルを提供できます。このように、デザインとプログラミングのスキルを持つ会社は東北でもほぼ当社だけで、それが強みとなっています。

ウ:今、ローカルブライトさんのスタッフは何名いらっしゃるんですか?

ス:現在正社員で20名弱おり、副業を含めると25人前後のスタッフが在籍しています。バリエーション豊かなスタッフがおり、例えば楽天の本社で勤務経験があるメンバーが2人の正社員として在籍しており、またGoogleの社員も当社でお手伝いをしています。地元出身の人たちだけではなく、元々の地元出身者でないメンバーも在籍しています。先ほど申し上げたGoogleの社員は元々楽天の社員だったのがGoogleに転職して、そこで富士スポーツの担当になり、長い付き合いがあるため、私の会社が独立する際にお手伝いいただくことになりました。楽天の社員は現在2人在籍しており、他にも博報堂から来ているメンバーもいます。デザインにも力を入れており、大手デザインプロジェクトにも関与しています。そういうトップを経験したの方々が村山に来てもらっているというのは、結構面白い化学反応が起きるのかなと思っています。

でも考え方として大切なのは、有名な大企業からメンバーが来ているというそのことではなく、そういう経験値や技術、メンタリティ、人としての資質をを地元採用のメンバーなどに、東京に行かなくてもしっかりと身につけることができる機会を提供できることです。これが、やはり非常に重要なことだと思います。そういう意味で、地元で採用したメンバーの視点や視座をどんどん高め、一流の経験に触れられる機会を提供できているのではないかと考えています。

ウ:最後になりますが、これからネット事業に力を入れたり、ECサイトを立ち上げようと考えている方に、簡単なアドバイスをお願いします。

ス:10年前なら、ただ商品を出せば売れる時代がありましたが、最近ではそれが当てはまらないことが多いです。私も講演などでよく話すことがありますが、まだネットショップを立ち上げていない方々は「出せば売れるんじゃないか」と思っているかもしれませんが、今はもう簡単に売れる時代は過ぎ去ってしまったと言えます。ですから、戦略的に行動する方法を考えることが重要です。もちろん、最初の一歩を踏み出す勇気が必要ですが、売上を増やすためには、ネットショップを試して初めてわかる難しいこともあるでしょう。地元のブランドだけで事業を展開することも魅力的ですが、ネットショップの特長を活かして、市場を全国や世界に広げ、成長させていくことがネットショップならではのやりがいだと思います。ですので、ぜひチャレンジしてみてください。確かに簡単な時代ではありませんが、覚悟を持って一歩を踏み出すことが重要です。

この覚悟は、時間的な覚悟と資金的な覚悟の両方を含んでいると思います。ネットショップを立ち上げるには、Illustrator(イラレ)やPhotoshop(フォトショ)などのツールを使えることも大切ですし、現在は多くのウェブサイトが簡略化されていますが、最初は多くのことを学び、時間をかける必要があります。また、ネットに出店してもすぐに売れるわけではないため、広告の効果的な使い方や財務の管理方法など、お金に関連する多くのことも学び続ける必要があります。これらのスキルを習得しながら、うまく事業を軌道に乗せることができれば、面白いビジネスに発展するのかなと思っています。

ウ:今後、富士スポーツとしても、ローカルブライトとしても、こんな事業を展開していきたいという考えや目標があれば、ぜひ教えていただければと思います。

ス:はい、富士スポーツに関しては、これからもネットショップを通じて地元社会に貢献できる方法を模索していきます。また、ローカルブライトとしては、若手メンバーの採用を増やすことに力を入れ、地域に新たな活力をもたらすことを考えています。どれだけ大きくなるかはわかりませんが、地元社会への貢献を重要視し、取り組んでいきたいと考えています。

ありがとうございます。

ご質問・ご感想 オンラインショップ