ユタカの部屋 三浦拳さん
広報誌「そうだ写真館へ行こうVOL.74」の中の【ユタカの部屋】
三浦拳さんにインタビューしてきました。
紙面の関係でごく一部しか載せられませんでしたが、ほぼ全文をこのブログに掲載します!
長文ですが、面白いですよ。
有限会社ホロニック ブランド戦略コンサルタント 三浦拳氏
まずは自己紹介ということで、いまやっているお仕事について教えていただけますか?
いろいろな企業の課題をブランディングという観点から解決していく仕事です。課題というのは人材採用だったり、競合他社から一歩抜きん出たいとか、値下げせずに選ばれたいとか、そういう強いブランドになるためのお手伝いをしています。
ブランドになるために必要な事って、見せ方だけじゃないんですよ。大切なのは内側なんです。社内の内側のことです。社長さんが内側に向けて行っていることと外側に向けて発信していることが違っているケースがとても多いんです。外側に向けては、お客さんのことを大切にしていると言っているのに、内側の社員さんのことを全く大切にしていなかったりしたら、そのギャップというのは何らかの形で伝わってしまうんです。一番深いところでいうと、理念。何のためにどんな思いでこの会社が存在するのかをお聞きします。その理念についてキチンとした言葉がある企業とない企業があるんです。例えば、「カメラを通して社会貢献をする」というような会社はたくさんあります。でもそれって、カメラを生業にしている人にとってはあたりまえのこと。業界全体にいえることじゃないですか。それを、あなたはなんでその職業を選んだんですかっていうきっかけは必ずあるんです。そこを深掘りしていった時に、だったら他にない今の仕事をやっている意義ってこういうことなんじゃないですかって言語化するんです。何かのきっかけによって「家族の幸せのために写真を」という理念があったとしたら、そのルーツにのっとった形でそれを最大限に伝えていくことが価値じゃないですか。そういう事を言語化して教えてあげるんです。
答えはその人、その企業の中にあるんです。それを上手く言語化して言葉にしていく。だったらこういう見せ方にした方がいいですねとか、こんなお店の名前にした方がいいですね、なんていうアドバイスをします。あとはその理念を矛盾なくアウトプットしていくということを考えていくのが仕事です。具体的にいうとホームページではそれが伝わっていますか、とか普段の格好、服装、ユニフォームで、伝えたい層の方に伝えたいことを感じてもらえてますか、とか。そういうことを細かく一つずつ、見た目とか社内の仕組みとか、全体がそうなっていますか、というのをチェックします。例えばウジイさんの業界でいえば、家族写真だったら、社員さんの家族は写真を撮っていますか。社員さんも毎年家族写真を撮っていたらそういう価値って外側にも伝わるんじゃないですか。理念を一切の矛盾なくアウトプットする、その上でホームページのデザインを見直しましょうということになることもあります。とにかく一貫性を持たせることが大事です。でも何に一貫性を持たせるのかなんですが、例えば人のキャラクターで癒やし系とか塩系とかいろいろあるじゃないですか。本当の自分は全然違うのに、癒やし系になれば売れるんじゃないかと思って、ルーツがないものを演じて一貫してもどこかで違和感が伝わっちゃうんです。それが大きな企業でも、最初のルーツや理念に沿った一貫性を持たせることが大切です。
ブランドというと、シャネルやエルメスといった高級ブランドをイメージするんですが三浦さんの考える「ブランド」というのはどういうものですか?
ボクの言葉というより辞書的な定義として必ずお伝えするんですが、ブランドというのは他との違いが明確で価値の高いものをいいます。値段が高いものをブランドというんじゃなくてそれは「高級ブランド」ですから。そうじゃなくて例えば百円ショップのダイソーなんかもブランドです。他との違いが明確で価値が高いと言えますからね。そういう意味では、どんな企業でも他との違いを探っていくことと価値を高め続けていくことは大切です。その行為のことを「ブランディング」といいます。
「お客さまを超えたファンを作ること」とボクはいってるんですけど、単なる「客」ではなくて「ファン」になってもらう。ブランドの究極形ってミュージシャンとかアイドルだと思っています。ミュージシャンってライブで「お客さま今日はお越し下さりありがとうございます」って言わないじゃないですか。「お前ら盛り上がってるか」って言う、ああいうのが理想型です(笑)。ファンなってしまえば、新曲が出ると聴いてから買うか買わないか決めないじゃないですか。それがいいか悪いかとか関係ナシに買うでしょう。ブランドのファンになれば、新しいものが出たらすぐ買いたい。高くても買いたい。商品を見ているんじゃなくてその人や会社が売っているものということで見ているんです。また、何か社会貢献をするという時に応援してくれたりもします。あと、そこで働いている姿もかっこよくて憧れるんです。みんな知っているお店でいうとスターバックスとかですね。そこでコーヒーを飲むと気持ちがいい、コーヒー飲んでる自分がかっこいい。タンブラーやマグカップなどのグッズも欲しい。スタバの店員さんってかっこいいし働いてみたいっていう若い人は多いです。値引きなんてしてないですよね。周りにある競合の中から、多少値段が高くても選ばれます。それはやはり他との違いが明確でファンづくりができているということなんです。
見た目をよくするということも多いんですが、結局一番大事なのはミッションとか指針(クレド)といった、最も内側にあるものです。それを会社の大きさにかかわらず社員一人ひとり全員が知らなければ全く意味がない。外側に向けてもそうですが、内側に向けても発信し続けなければならないんです。メッキがすぐに剥がれちゃうんです。そのために理念浸透できるような社内の仕組みを整えていくお手伝いもしています。
三浦さんのクライアントさんはどんな業種、職種があって、どんな指導をしていますか?
今、山形の法人では7社さんにお手伝いさせていただいてます。大きなところでは社員さんが200~300名規模の会社。小さいところでは、おひとりでされている個人商店もあります。
カフェ、エステサロン、ジム、旅館、警備会社、ハウスメーカー、歯科医院などです。個人事業主さんも多いです。
契約の形態によるんですが、法人さんは定期訪問が基本です。個人起業家さんの場合は全国にクライアントの支援をしていますのでその場合は全部ウエブでのやりとりです。月に一度ウエブ通話でお話をするということになります。お話をしながら一緒にブログを作り直したりという作業をすることもあります。
社員さんがいない個人のかたは、ブレるケースも結構ある。女性で趣味の延長で起業してる人も多いですから、家庭があって旦那さんもいる子どももいるという環境の中ですから。また、一人ですから経理や集客その他のいろんな事も自分でやらなければいけないじゃないですか。そんな中でマインドを保ち続けていけるように「そもそも何のためにやっているんだっけ?」というルーツがぶれないように定期的に接していくのが大切だと思います。そして一緒にメニューを作ったりとかお客さんが申し込むまでの導線を考えたりだとか、そういうことをやっています。その上で次の回までにやっておいて欲しいことをお伝えします。ウエブ通話は月に一回ですがチャットは常につながっているんです。その中で質問とかわからないことがあったらいつでもやりとりできるようにしています。大がかりなことじゃなくてもこういう発信してみようとかSNSにこういう投稿をしてみようとか、お金がかからないやり方はいつも提案しています。やろうと思えばすぐできることをお伝えしています。ブログやSNSが多いですね。個人の場合はそういうウエブマーケティングでお手伝いすることが多いです。
大きい企業の場合はお金がかけられる範囲で、ウエブだけではなくテレビや紙媒体の広告のお手伝いもしますが基本的にはいつも理念がぶれないように、ミッションやビジョンがちゃんと伝わっているかというチェックはいつもしています。
コンサルタントのやりがいと楽しさについて感じていることを教えて下さい。
みんなが右を見ている時に左を見る職業だと思います。業績や調子がいい時に「いや、ちょっと待って」と言わなきゃならないこともあります。後になって、そうだった、教えてくれてありがとうということになることも多いんです。自分にしか見えていないことを伝えていくことにやりがいを感じています。当然その企業が話題になったらうれしいですし、社会からの評価もそうですが、内部の社員からの評価が上がった時が一番うれしいです。社内の雰囲気がよくなったとか、自分の意見を聞いてくれるようになったとか。もちろん売上げが上がったっていうのもうれしいですが、売上げはボクだけがその要因じゃないですから。
いくら週末でも、メールとか連絡はしょっちゅう来ますからお休みはないですけどね。コンサルタントって胡散臭い職業じゃないですか。適当に物事言ってればお金がもらえるみたいな。ボク自身もそう思ってます(笑)
「コンサルタント」として会社と接するのはあまり好きじゃなくて。会社側も、外の人から言われてあまりやる気にならないというか。ですから、できるだけ会社の中に入らせて欲しいっていっているんです。ブランド推進室を作ってもらってその一員にしてもらうみたいな。中に入るというのはどういうことかというと、反対の例ですがいわゆる業者さんっていますよね。広告代理店さんとか。それって外の人じゃないですか。会社の事情とか経営の数字とかそういうリアルを見ていかないと、外側のきれい事しか見えないです。そうすると、どんな広告であれ理念やミッションに基づいた本質的な発信ができない。あと、実際にやるのはその会社側なので、いかに提案が的確でも動かなければ何も変わらないじゃないですか。そこを言うだけじゃなく一社員とし自分で進めて行く感じですかね。でもそれをやる時に、できれば権限を持っている人といつもつながっているということを意識しています。社長さんの思いが伝わるようにキチンと対話するように心がけています。ブランディングって、ボクがやるものじゃなくて会社が取り組むものですから。会社のトップが動いてボクが動いて、社員さん全員が動いて浸透していくものなんです。
今後に向けてのPRってありますか。
ブランディング業って珍しい業種だと思っています。このままでは良くないとか、変わらなければならないとか、そう強く思っている会社さんや個人さんの力になれる自信があります。
採用でも売上げやイメージアップでもPRでも、業種や規模を問いません。ご相談いただければ必ずお力になれます。