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ウジイユタカ

ユタカの部屋 vol.91 東海林文明様

かすりや様

出羽の恵かすり家は恵粕本店東海林文明さんです。よろしくお願いします。

かすり家本店さんの歴史と、東海林さんの経歴から教えてください。

有限会社絣屋は1985年5月10日に設立されて、今年37年目になります。

団子と和菓子の製造販売をして、本店のお店と、近隣の卸などの納品、あと最近では海外向けに大福とかの和菓子を輸出しております。有限会社絣屋という社名ですが、2011年の東日本大震災のときに屋号を出羽の恵かすり家本店としました。

あのときは地震で停電になって、真っ暗な何もない世の中になったんですけど、次の日にお店はどこもやってないわけですね。

私達も何もできないような状態でしたが社員は一応集まってくれました。私達も買うものがないっていうことはお客さんの買うものないし、どうしていいのかわからない。みなさんの食べる物があるのかないのかっていう状態でした。うちも電気はないけれどガスでおにぎりを作って店に並べました。一応あの日何か買えるっていう形でお客さんに喜んでもらおうと作って、あっという間に完売して従業員も食べるものないしおにぎり作って渡したりして過ごしました。

そのときにやはりこんなときでも営業できるというのは、山形の米がすぐにここにああったからなんです。その時はもう流通もトラックも止まってますから、何も買えない状態、原料も入れないという状態の中で山形のお米と山形のここに住んでる人でこしらえることができました。出羽の恵みですよね。商品と人と出羽の恵みに生かされて、そして家族のような従業員と家族も、心細い中で支えあって電気とかないところで一緒になって寝てといった家族の絆を忘れないように、「出羽の恵みかすり家」とつけました。前は屋根の屋だったんですが、それを家にして家族の絆を忘れないようにっていうことであのときから出羽の恵かすりや家本店っていう屋号にしました。

私の経歴というと大学で東京に行って学んで就職をしたんですけどね、お菓子屋じゃなくて。化粧品会社とか、関係ないあの当時好きだった旅行の添乗員とか建築の会社の営業とかいろんな形で好きなことに携わって、27のとき結婚と同時に山形に帰ってきました。それから30年を過ごして、技術は先輩に習いながら販売は独自でいろんな勉強しながら今までやってきた、というところが今までの流れですかね。はい。

ありがとうございます。東海林さんは初代ですかそれとも何代目とかですか?

うち母親が初代で私二代目、今度息子帰ってきたんで、3代目。ということになってます。

何か後を継ぐ気持ちのきっかけみたいなものがあったんですか。

やっぱり母親が一生懸命やってたのでそれを見てですね。なかなか帰ってこいとは言わなかったんですけども、結婚を機に帰って親孝行をちょっとさせてもらおうかなということで、全然畑違いっていうところだったんすけども始めました。

ついでなんですけども、息子さんは最初から跡継ぎになるって決めてましたか。

小学校のとき、みんな将来の夢みたいなものを発表するじゃないすか。その時6年生のときは一応継ぐっていう話をしていたんですね。それからもう忘れちゃってて。

大学は仙台に行って、就職は東京の携帯のアンテナを立てる会社に行ったんですけど、転勤で福岡行ったり、また東京戻ってきて。そして今ウチに帰ったんですけど、実際のところは、あんまり書くのもあれですけど、夢破れて帰ってきたみたいな感じですかね。

で何をやるっていうことではなくて、親父が一生懸命やっているところで心機一転頑張ろうと。私も菓子屋になろうっていうことではなかったので。実際母親が初代と言いますけど、会社を買ったんですよ。

隣のせんべい会社を、建築会社の菓子部門として買ったんです。私は建築の会社の社長の息子として生まれたんですが、母親も建築やってて。今弟がその建築会社なんです。ここはあんまり書かないでもらいたい感じなんですけど。

やってて、建築とお菓子屋と母親が両輪でやってたんでね。父親がちょっと先に亡くなっちゃったんで、弟は建築で私は菓子屋いうことでやりだしたっていうところなんすよね。だから好きでやりだしたとかってそういうことじゃなくてね。

まず、何とかしなくちゃいけないっていう部分もあって、あと親孝行もしたいな。って今に至るみたいな。

幸せどら焼きが10周年という看板がお店の前にありましたので、そこをちょっと聞かせていただきたいなと思うんですけど、10年前の誕生したときのお話から少し聞かせてください。

ありがとうございます。幸せどら焼きは、最初にですね、母のことを思って幸せどら焼きありがとうの手紙というお菓子を作りました。

母が手術をするということがあって、それまでなかなかありがとうとか言葉をかけてやれなかったので、手術が成功して生きて帰ってくるのかなっていうところが非常に心配になってね。もう言葉をかけてないからせめてお菓子だけでも作って思いを伝えたいなということで、本当に今まで幸せでしたっていう意味とありがとうっていうのをお手紙にして送りませんかっていうお菓子を作ったわけです。そのお菓子があって、たまたま東京で講習会があってそこに持ってって、みんなに食べてもらったんですけど、この幸せどら焼きありがとうの手紙っていう名前がちょっと長いので幸せどら焼きっていうネーミングがいいんじゃないのっていうふうにアドバイスもらって、それから幸せどら焼きっていう名前を使ってお菓子を作っております。

その後もここの10年間でこんなふうな展開があったよとか、こんなふうにバリエーションが増えたよとか何かそういうのも教えてもらえればと思います。

この幸せどら焼きというのを作ったんですが、当初は東京の方で仕事をしていて特にお客さんがあまりいないもんですから、Facebookを通してこの幸せっていうのを広げていきたいなと思って発信をしていきました。そしたらお客さんが徐々に集まってくれて幸せの輪が広がっていきました。

そこから大きな1.8キロのどら焼きというのも、友達がたまたま結婚するということになり何かお祝いを送りたいな、持ってびっくりする何かないかなと思って1.8キロ=一升ですよね、一生幸せになれるようにっていう思いを込めて、大きいどら焼きを結婚式にプレゼントした、というのががバリエーションが広がるきっかけになってます。

大きいどら焼きって焼き型とか作るんですか。

焼き型はないですね。鉄板にホットケーキのように種を流して丸くして作るっていうイメージですね。焼き加減とか、ひっくり返すタイミングとか、道具なんかもなかったので、それ用に作って始めました。

あとは店内を見ると、その幸せどら焼きのいろんなバリエーションどら焼きが何種類かあるんですけど、簡単にいくつか紹介してもらっていいですか。

最近はですね、ふるさと納税とか、そういったので人気あるのは枝豆のバターどら焼き、ずんだバターどら焼きっていうんですけど、山形で獲れた秘伝豆、枝豆をずんだに使って、バターと合わせたやつが非常に今人気です。あとは前からあります小豆とバターですね。名古屋とかでバタートーストは人気ですけど、山形発祥の小豆とバターどら焼きがあってそれをネーミングはありがとうっていうどら焼きなんです。商品を送るっていうことは、感謝の気持ちを伝えるっていうことが結構多いんですけど、言葉では言えないけれども、商品に書いてあるとプレゼントしやすいかなって思って作りました。あとは栗どら焼きというのは季節のどら焼きですけども、栗がたくさん入っています。あとは季節の蒸しどら焼きっていうのも、今はさつまいもですね。桜の春は桜だったり、抹茶になったり、いろんなバリエーションで季節で楽しめるお菓子を作っております。

あとホームページで見たんですけど、合格どら焼きってありますよね。あれ、あの五角形なんですか。そうですね、やはり合格を祈願して2010年頃から作っているどら焼きなんですけど近くに出塩文殊堂っていう文殊様あるんですね。そこに毎年、原料を持っていって合格の祈願をしていただいて、その原料で作るということにしています。毎年お客さんが受験のときになんかプレゼントするのに良いのはないかなっていうようなお話があって、まずはサクラサク大福っていう大福を作ったんです。

バナナクリームが中に入ってて、桜の葉が載っていて、東大の合格祝いのお知らせにサクラサクって書いてあるって聞いたので、それをもじってサクラサク大福っていうのを作ったんです。

でも大福なんで日持ちしないんでね。

そこで日持ちするものはないかっていうことになり、どらやき作ろうっていうことでやはり縁起が良い五角形して合格、そして勝ち栗ということで栗が中に入っているんですね。合格の焼き印を押してっていうのをまず最初に作ったんです。そして合格を祝うために、ちょっと大きなみんなでお祝いする五角形にしてでかくしたどら焼きを出してみようかなっていうことを3年前ぐらいに始めました。合格祈願で小さい五角形のどら焼きを贈って、合格祝いで大きいどら焼きを買ってみんなでお祝いするっていうそんなイメージですか。

決起集会みたいな手最初に食べる方もいらっしゃいましたけど、合格して食べるっていうのが定番ですかね。はい。ありがとうございます。

ではお母さんから事業を引き継いで、今度息子さんが帰ってこられたということでその親子での事業の引き継ぎというか、そこらあたりでやっぱりぶつかる部分ってあるんじゃないかなと思うんですけど、何かそういったエピソードでもいいですし、思いでもいいですし、そんなところ語っていただいてもいいですか。

ありがとうございます

私と母親のときは私が小さい頃、仕事で忙しくて母親が構ってくれなかったんです。でも私はおとなしくしていなければいけないかなっていう、長男的な優等生で自分を出すってことためらってたっていうか、できなかったんですよ。年をとってその鬱憤がたまってて、笑。いざ帰ってきて忙しいのはもちろん承知なんですけど、親子として納得いってないなっていうことが何か根底にあって、八つ当たりをしてたっていうのが、私の仕事がうまくいかなかったっていうのがケンカした原因だと思うんです。今考えると。

それがないので今、息子は今のとこ穏やかにやってます。でもなぜ穏やかかっていうと、息子は何がしたいとか、こうしたいっていう欲求がまだ出てないので、衝突しようがないんですよ。言われたことはやって素直に仕事してるわけですけど、今度は自分が何とかやりたいっていうときにやっと仕事の衝突っていうのが生まれてくるのかなって思うんです。やっぱり親子って今日仲のいい親子と仲の悪い親子って昔からねどこでもいて、事業承継のことを考えると、うまくいかないことは結構多いんですよね。働き始めても、やっぱり外にずっと出ちゃって仕事やめちゃったり。うまくいかなかったりっていうことが結構あって。ではなんでうまくいかないのかなって思うと、やっぱり寄り添うじゃないけど相手のことを考えないからうまくいかない。事例を見るとね。やっぱり親が自分のことは自分でこうやって自分のことを押し付けるじゃないけど、こうじゃなきゃいけないっていうのはもう曲げられないんですよね。

そうすると、入ってきた人はそんなんじゃダメなんだろうけども、この人はもう言うこと聞かないからこの人はダメなんだ言ってもなって見切り切りつけちゃって、もう出ちゃう。ということが周りでも結構あるんですよね。だからどこかで歩み寄るっていうか。

親も子も両方だと思うんですけどね。話聞かなくちゃいけないし、そっちも話聞いてもらわなくちゃいけないしっていう、両方なんだと思うんですけど、親がやっぱり頑固すぎるのもよろしくないなっていうのを見ているので、自分の息子じゃなくていち社員として成長を見守るっていうところがいいのかなっていうのは今のところの私の結論ですかね。

どら焼き以外の商品についてご紹介いただきたいのと、あと将来的にこんなお店にしたいなとか、こんな展開をしていきたいなっていうことがありましたら、最後にお聞かせください。

かすり家といえばですね、団子なんです。

かすり家団子っていって一番人気なんですけども。柔らかいけどコシがあって、歯ごたえがあるダ団子というのがかすりや家のの看板商品ですね。やっぱりモチモチした食感と柔らかさが相対するっていうところが非常に喜んでいただいてるっていう団子です。やわらかいっていうのが今のお菓子や食べ物で、「やわらかい、美味しい」っていうのがもうフレーズになってるっていうかね、認知されてるというふうに思ってるんですけども、そこの柔らかさっていうだけじゃなくて、腰があって美味しいねって言うところがかすりや家の団子の命といいますか、売りですね。なので、丸亀製麺じゃないけどかすりや家食感っていうのを今打ち出して、お伝えしているところですね。食感がうまい。昔からのお団子の作り方でそこを味わってもらう、っていうのを今やってます。そして今ですね、杵つき団子っていうのも今試作で作ってまして、お客さんにアンケートをとったりなんかして、腰にこだわるっていうか食感にこだわるっていうところを今模索中っていうところもあります。

あとは主力の商品は餅菓子なんで大福ですね。大福は近年、海外輸出を多くしております。円安の影響とかねコロナが終わってとかいろんな影響なんですけども。やはりちょっと前までは中国とか台湾とか同じような大福っていう名前のものが安いものでいっぱい流通してたんですけども最近ではきちんとした日本で作ったものを求めるというようなお客さんが増えてきたのか、輸出もですねといったものが多くなってきてるっていうことで、最近はイギリスとかヨーロッパですね、スイスとかオランダとかイタリアとか、いろんなところに納品しております。そういった餅菓子がメインですけども季節商品でね、あの夏にはやはりちょっと団子の需要が落ちるので山形フルーツバーということで寒天を使ったアイスのようなお菓子を作って喜んでいただいております。

今後の展開についてまとめ的な話をしていただいていいですか。

やはりお菓子はですね心の栄養です。ちょっとのお菓子の時間、休憩する時間を取って、甘いもの食べてもらうと、ふっとした瞬間に心が和むんですよね。家族とか友人とか会社の中でもちょっとした休憩の時間でお菓子を食べるっていうことでリフレッシュしたり、新たな気持ちになるということがお菓子の役割かなと思っております。そういった優しい気持ちになったり幸せな気持ちになったり、笑顔ができる時間を共に過ごしていただきたいということを思ってお菓子作りを頑張っていきたいなと思っております。はい、ありがとうございました。

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