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ウジイユタカ

ユタカの部屋 vol.89 結城孝文氏

ラビットビレッジコーヒー結城さん

ウジイ(以下ウ):まずは自己紹介、そして経歴を教えてください。

結城(以下ユ):ラビットビレッジコーヒーの結城と申します。年齢は31歳で、家族は妻と子供3人の5人で過ごしております。高校を卒業してから1年間公務員の専門学校に通い、村山市職員として2010年4月から2022年3月まで勤め、退職後4月20日にこのコーヒー店をオープンしました。

ウ:公務員のときに所属していた課についても教えてください。

ユ:新規採用で最初所属したのが税務課です。主に確定申告など住民税に関わるところで仕事をしまして、その次に財政課。財政課は土地の登記や市の私有財産の管理ですね、最後は市民環境課で終わったんですが、そちらでは市民の証明書やマイナンバーに関する業務をずっと行ってました。

ウ:公務員時代の何か思い出とか、心に残っていることとかあったら教えてください。

ユ:やはり一番、窓口に近かったの市民環境課でした。市民の皆さんと一番触れ合う窓口なので、私の行動が村山市のイメージに繋がるということも考えながら業務にあたっていました。初めて転入した方であれば、村山市で最初に触れ合うところでもあるので、その方の今後の村山市のイメージとして良くなるようにと常に心がけながら、業務として当たっていました。業務の中でお客様から、あなたの説明はわかりやすくてとても手続きもスムーズに進めてよかった。村山市ってとてもいいところねって、そんな言葉をいただけたときには、私もやりがいを感じました。やっぱり市民の方からもらえるそういった一言が一番自分の中ではやりがいを感じられるときでした。

公務員時代の後半はマイナンバーカードの普及に取り組んでいました。自発的に市内のいろいろな事業所さんをまわってマイナンバー申請サポートの営業活動を行ったりもしました。慣れない営業活動で苦労もあったんですが、どうすれば興味を持ってくれるか、相手に分かりやすく伝わるかなど自分自身で考えるいい機会だったと思っています。その取り組みが普及率アップの結果であらわれた時はやりがいを感じたし、そこで感じたやりがいが個人事業主としてやってみたいと思うキッカケにもなった。

ウ:公務員からコーヒーショップのオーナーに転身したわけですけども、その動機について教えてください。

ユ:ずっとコーヒーが好きだったっていうのも、大前提としてあります。やはり人生1回しかないので、自分がやりたいと思ったことは、必ずやり遂げたいって思いながら生活をしていました。公務員をしながらコーヒーと向かい合いながら、どんどんコーヒーに対する熱量が増えていって、気付いたらもうコーヒーを仕事にしたいという思いが強くなってました。それがコーヒーを始めたきっかけです。

ウ:ご家族の方の反応について教えて欲しいです。

ユ:まず妻にコーヒー屋したいんだよねっていう話をしました。そしたら、してもいいけど子供が大きくなってからね、って当たり前のことを言われました。でももう自分の中では今すぐにでもやりたいという気持ちがずっとあったんで、どうやったら妻を説得できるかなということを考えまして。

ウ:説得はどのぐらいかかりましたか。

ユ:2年ぐらいは話をしました。

ウ:では次に公務員時代の生活と、今コーヒーショップのオーナーとして生活されてるのはもう生活がガラッと変わってると思うんですが、どんなふうに変わったのか教えてください。

ユ:公務員はもう月曜日から金曜日の基本勤務で、8時半から5時15分までの勤務となっています。土日は休みで、休みの日は家族と1日ずっと一緒にいて、出かけたりする時間があったんですが、コーヒー屋を始めてからは、土日も働いてますし、家族の時間はとても減りました。

家族の時間は減ったんですけれども、家族と過ごす時間の密度っていうか、そういうのは公務員時代よりも今の方がとても濃い時間を過ごしてるなって思います。

ウ:今の仕事のことをお子さんに話したりしますか?

ユ:コーヒー屋を始めるときに、「今日からコーヒー屋さんするからね」って伝えたんですが、やっぱり子供の反応が不安だったんです。最初は「え?」って言われたらどうしようかなと思ったんですけど、子供も「かっこいい。似合ってるよ。」そういう子供からの言葉がとても嬉しくて。決断してよかったなと思ってます。

朝の時間が以前より少しゆったりなったので、保育園に送っていくっていうのも私がやるようになりました。移動中に子供と話をする時間も大事だなって思いますし、今まで朝よく言っていた「急いで急いで」っていう言葉が減って、そういったところはすごくいいなと。もう戻れないなと思ってます。今後も長くお店を続ける上で、自分の生活にあった営業スタイルを確立させて家族との時間などプライベートも充実させたい。そんな事ができるのも個人事業主ならではと感じています。

毎日色んな方と出会い、コーヒーに限らず色んな話をしながら営業できてとても楽しいです。

しばらく会っていない同級生が来てくれたり、お店をしなければできなかった人との繋がりにやりがいを感じています。地元の方がみんな優しくて村山で出店して良かったと思ってます。

美容室COCOCHIさんの駐車場で出店できている事も刺激になっています。美容室のお客さんにお店を知っていただくきっかけになっている部分が大きいですし、個人事業主の先輩であるオーナーから聞ける経験や取組みなどがとても勉強になっています。お互いコーヒーが大好きで、一緒に日帰りで東京へコーヒー屋巡りに行ったりもしますよ。いつも人生を楽しむ大切さを教えてくれるCOCOCHIオーナーにとても感謝しています。

ウ:ありがとうございます。ではいよいよコーヒーに対する思い、コーヒーの魅力について、結城さんなりに語ってください。

ユ:コーヒーの魅力を語る前に、自分がコーヒーに出会ったきっかけについて思い返したんです。昔の写真見てたら、児童センターに通ってたぐらいの歳なんですけど、缶コーヒーを美味しそうに飲んでる自分の写真を見つけたんですね。「こんなに小さい時からコーヒー飲んでたんだな」って思って。

小さい頃からもう既にコーヒーの味が好きになったんだな、というのは写真を見て思いました。あとは両親がコーヒーが好きだったので、小さい頃から休日になれば、豆を引いた香りと音と、そういったものに触れ合いながら育ったんだなって、今ふと思い返しました。コーヒーに触れ合った時間が長かったんだなっていう。当たり前の日常にコーヒーがあったんですよね。自分の中ではそこまでコーヒー好きだとは気づいてなかったんですけど。社会人になってからずっと、何のきっかけか忘れたんわかんないんですけど、自家焙煎してみたいな、ってそういうことをふと思って。

思ったらもう手網焙煎機と生豆をAmazon で買って自分で焙煎してみました。手網で焙煎したらやっぱり豆によって味が違うなあって感じました。豆によって違うのか、自分の焙煎する熱の加え方によって味が違うのかどっちかがわからない。何で味が違うんだろう。自分で探りたいっていう思いがどんどん強くなって、気づいたらもう焙煎機を購入していました。何でコーヒーの味が変わってるんだろうっていうのを、ひたすらいろんな豆を焼きながら考えていました。そういうふうに豆を焙煎して飲んでいるとコーヒーの沼にどっぷりはまっていたんです。

大きな要素として香りってすごいあると思うんですけど、このコーヒーの香りが人を惹きつけるんですよね。

お客さんが入って来たときに「すごいいい香り♡」って言ってくれるんです。そういう声とか表情を見ると、コーヒーってやっぱりみんなの心を和らげてくれるんだな、香りを持ってるんだなって実感します。

スペシャルティコーヒーにこだわって、全て自家焙煎しています。

コーヒーは生産国が一緒でも、農園単位で香りや苦味や酸味、そして香りや口に含んだ時の質感など、全く異なってくるんですよ。そんな違いがあるのが本当に面白いし、飽きない。その違いを多くの方に体感してほしいし、自分自身も次はどんなコーヒー豆に出会えるか楽しみながら焙煎しています。そういった違いを経験するだけでも人生が楽しくなる気がしています。そうなるとコーヒーの沼から抜け出せないですね。

ウ:豆の種類によって味わいが変わってくると思うんですけど、代表的なもので二つ三つ紹介してみてください。

ユ:日本人に馴染みのあるところで言うと、ブラジルの豆が代表的だと思います。酸味が少ないので、豆の持つ苦味や甘味っていうのが感じやすくて、日本人好まれる味になってます。エチオピアは一般的にはモカと言われるんですけども、やっぱり華やかな香り。コーヒー発祥の地でもあるので、香りが特徴があって、綺麗な酸味とそういうところは全部好きです。キリマンジャロはタンザニアなんですがとても綺麗な酸味と、高地で取れる豆なので、確かな甘みのと綺麗な酸味が美味しいですよ。

ウ:これから世界中どこでも行けるようになったらまず行ってみたいコーヒーの産地ってありますか。

ユ:エチオピアに行ってみたいですね。コーヒーの香りの違いに気づいたきっかけがエチオピアだったんで、自分の興味をより深く持つきっかけになったところに最初行ってみたいなっていうのがあります。

ウ:メニューに書いてあるけど、ピスタチオとかトロピカルフルーツとか、そういう香りのイメージって、やっぱり結城さんが実感して書いたやつですか。

ユ:自分が実感したものでないと、お客様にとってリアリティがないと思うので、自分の舌で、自分の鼻で感じたものを、イメージとしてお客様に伝えるように心がけてます。自信持って提供するには、自分自身が納得したコーヒーだっていうことも確認する意味も含めて、必ずそういうイメージを感じる豆ってわかるようなものだけを仕入れて販売するようにします。

豆を買って行かれるお客様が、どうしても家でコーヒーを淹れたのとお店のは全然違うと言われることもあるので、できるだけ自分がどういうふうに淹れているかっていうところをわかっていただけるようにお客様とお話をしながら、自然に伝えられるように心がけています。オンラインとかでも買っていただく方がいるので、そういった方には、私が実際に淹れているレシピとか豆を特徴とか全て記載したものを一緒にお送りしています。

ハンドドリップの魅力は豆の挽き目も調整できますし、湯の温度とか量とかそういったところが違ってくるだけでコーヒーの味も変わってくるんです。豆本来持つ魅力を最大に引き出すために、どこをどう調整したらいいかというのを考えながら楽しめるのがハンドドリップだと思っています。ご自分の好きなレシピで入れていただいていいです。それも含めてコーヒーの魅力だと思っています。

日替わりコーヒーとして出しているのには理由があって、お客さんっていろいろコーヒーがあって悩むんですよ。おすすめは?とか、訊かれることもあるので、そういうときのために本日のコーヒーを一つ準備しておくとお客さんも選びやすいのが一つです。

それとまた来たときにいろんな違うコーヒーも体験してもらえるきっかけになるんです。

本当に日替わりでいろいろ出してるので、前に来たときと全然また違うコーヒーを体験できる、それがいいのかなと思って本日のコーヒーというメニューをお出ししています。

ウ:ちちなみに今日の、本日のコーヒーは何ですか

ユ:ブラジルのブランデーというコーヒーです。ブラジルって先ほど言った中では酸味が少ない、日本人になじみのあるコーヒーです。洋酒のような香りと、ほんのり酸味も感じる豆なので、ブラジルっていうイメージでお客様が頼まれると、何これ私の知ってるブラジルじゃないっていう感想もいただきます。このブラジルの豆に関しては、収穫してからコーヒー豆になるまでの過程で、酸素を与えないで発酵させて作っている豆なので香りがとてもユニークなコーヒーになっています。精製方法によって全然香りが違うんです。

ウ:暑い季節ならではのコーヒーの楽しみ方ってありますか?

ユ:水出しコーヒー販売してるんですけど、水出しコーヒーだけじゃなくてミルクブリューっていう楽しみ方もあるんですよ。牛乳に水出しコーヒーのパックをつけて、水じゃなくて牛乳出しコーヒーです。直接牛乳に抽出されるので、コーヒーとミルクを合わせるより一体感があって甘味も強くて美味しいコーヒー牛乳になります。

ウ:コーヒー以外のメニューのこだわりについて教えて下さい。

ユ:自分には子どもがいるので、お子様には安心した物を提供したいなっていう思いがあります。うちで出してくれるラフランスジュースとかリンゴジュースは東根で採れたラフランスやリンゴのストレートジュースをお出ししています。甘みもしっかりしています。マフィンとかお菓子も無添加で作ってるものなので、子さんにも安心して食べていいよっていうものだけ置いてます。

ウ:ラビットビレッジコーヒーの店名の由来について教えて下さい。

ユ:村山市ってウサギの形をしてるんですよね。自分はそれを当たり前だと思ってたんですけど意外と皆さん知らなくて、村山市の職員として働いていたので、少しでも村山にちなんだ名前をつけたいなってずっと思ってました。市外の方が来て、なんでラビットビレッジなんですかって聞かれると、グーグルマップで調べると村山市はウサギの形してるんですよって言うと、みなさん調べてくれるんです。

調べてくると村山市に関するいろんな情報も続けて出てくるので、バラ公園が有名だとかそういった情報も一緒に知ってもらうきっかけになるような名前をつけたんです。

ウ:トレーラーもかわいい形をしてるんですけど、どこから調達してきたんですか。

ユ:神奈川県相模原市で作ってるところがありまして、そこで作ってもらって、私が車で取りに行ってきました。基本的な形はあるんですけれども、色とか、中の配置なんかはお願いして作ってもらいました。

ウ:トレーラーっていうのを発想したきっかけってなんですか。

ユ:やっぱり今まで全然飲食っていうところに携わってなかったので、公務員という仕事をやめて、商売をしっかりやっていけるかっていう不安もあったので、できるだけリスクを背負わずに始めたかったという思いはまずありました。従業員を最初から雇うのではなくて自分できる範囲で、かつお客さんと近い距離感でやれるものを考えたときに、トレーラーっていうのもありなんじゃないかなと。これだと移動できるっていうのもメリットなんで、イベントなどに行って、ラビットビレッジコーヒーを広く知ってもらいたいなっていう思いもあります。

ウ:どんなイベントに行かれたんですか。

ユ:今までは東沢公園のバラまつりの2日間、パン祭りがあったんです。そこに出店させてもらいました。その時は本当にパンとコーヒーの相性が良くていろんな方からコーヒーを買っていただいて、かつ、ラビットビレッジコーヒーっていう店が村山市にあるんだよっていうことを市内外の方に知ってもらうきっかけになりました。

ウ:これから何か予定されているとこってあるんですか。

ユ:Linkむらやまがオープンするので、オープンに合わせて三日間出店します。あとは山形七日町にあるオワゾブルーさん、結婚式会場の方に運んで、小さいマルシェなんですけど、そういうところに出店していきます。

ウ:情報発信はLINEが多いですか、インスタが多い方がいいですか。

インスタですね。結構マメに更新しています。コーヒー豆だけに。

ウ:今後の展開とかについて考えることを教えて下さい。

コーヒーっていろんな豆があって苦みも酸味も違うので、そういったコーヒーを村山の多くの方に知っていただきたいなという思いはあります。まだこの辺の方も飲みに来てくださる方のお話を聞くと、苦いコーヒーが良くて酸味は嫌いだっていう方もいらっしゃいます。豆の本来持つ酸味とか違いとかついても知らない方ってまだまだいらっしゃるなというのを実感しています。こういった豆によって酸味が違うよっていうところを知ってもらえるように、豆の魅力を対験できる場所を増やしていきたいなと思いますし、それがやっぱり長い目で見ると、どんどんお客さんも増えてきて、焙煎する量も増えてくるかなというふうに思っています。

焙煎する量も増やして、いずれは大きい焙煎機を購入してロースタリー店舗として焙煎に特化したコーヒー豆の販売所っていうのを作っていきたいなというふうに思っています。

ウ:もうコーヒーに人生を捧げたいと、大げさに言うと。

そうです、今はコーヒーしか見えてないです。自分のやりたい事を尊重して全力で応援してくれる家族にとても感謝しています。この家族がいてくれるから、コーヒー屋を頑張るモチベーションにもなっているんです。これからも父として仕事を全力で楽しみながら頑張るカッコいい背中を子供に見せていきたいですね。そして、子供達にも自分のやりたい事をみつけて夢に向かって頑張れる子に育ってほしいです。

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