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ウジイユタカ

ユタカの部屋 vol.87  広倉柏氏

広倉柏さんです。よろしくお願いします。

今回、最上が美術館で展覧会をされているところにお邪魔してるんですけども、芸術というかアートを志したきっかけというか、どんな経緯で今日まで至っているかっていうところを教えていただきたいと思います。

私は幼少より、アートは嫌いではないんですけども、本当に傍観していただけでした。

それで私は建具、数の職人を担って生計を立てているんですけども、その副産物というか、素材を使って遊び始めたっていうところです。

最初に僕は山の模型を作ってみました。それを完成させますと具体的なものを作ったはずなのに、抽象的な表現になっていることに気づき、そこから自分が意図していない、たまたま出来上がるものを作品にしていったらこれが面白いとうことで、徐々に変形させていってこういったバリエーションのある作品に至っております。

今までこんなところで展覧会しましたよとか、そういうものがあれば、簡単に教えてください。

最初は仙台の個人の美術館さんにお邪魔して、山の模型の展覧会をさせてもらいました。

それは何年ぐらい前の話ですか。

2018年ですから3年前ですかね。仙台の中本誠司現代美術館です。

たまたま館長さんが山に登られた経緯を持つ方でしたから面白がっていただいて美術館に展示させていただいたんです。

その時山の模型だけ飾ったんですけども美術として物足りないというか一辺倒な模型でしたのでもっと変形した美術的なものも加えたいなと。

いうことで、徐々にバリエーション化したということです。

最初からそれは個展として行ったんですか。

そうです。あくまで山の模型展でしたね、美術ではなく。

ただやっぱり場所が場所だけに、山に登られる方も見に来たんですけども、現代美術ファンが鑑賞していただいたということです。

続きまして鶴岡の今井美術館アートギャラリーです。

そちらは美術館長が縁故の方でしたので。

そこではちょっと美術の要素を増やしましたけども、

徐々に山から脱却して。

続いてまた中本さんの方で、こんどはやっぱり比重をどんどん美術に向けていって。

そうすることでやっぱり、毎回の個展を変えていくっていう、自分のスタイルというかスタンスを確立していったという感じですかね。

毎回新作を吹き込むと。

山の模型からだんだんと変化していく途中で、何かから影響を受けたとか、どっかにインスパイアされたとか。

なんかそういうのってあるんですか。

具体的な作家さんとかそういうものからの影響というのはないと思う。

作っていく過程で、違うものっていうふうに意識しながらやっていくと、どっかに似てるものは出てくるんですけども、どっかに影響されてるのかもしれないですけど、見た残像あるかもしれませんけどあんまり意識はしないでここまで増やしてきました。

自分の中で、意識して変化させていったというか、そんな感じに近いですか。

そうですね。

こういうものを作りたいっていうイメージがあるわけじゃなくて、イメージは後付けというか、即興で後からついてくるんじゃないかと。

まず仙台で行って次鶴岡

でもう一度仙台。

仙台はあの2回とも同じ中本誠司現代美術館さんですか。

そうです。はい中本さんであって、

4回目かな。

今度は秋保の美術館でこれも1ヶ月ぐらい長いスパンで展覧会をさせてもらいました。

そしてまた中本さんに戻って、その次にここ最上川美術館さんから声がかかって。

秋保のヤツがこれに乗ってましたね。はい。見させてもらいました。

今回の展覧会も見せてもらったんですけど、色合いも様々。

カラフルなものがあって、

タッチというか、それも

山のジオラマっていうのかな、それもありつつ、筆遣いだとか、それがいろいろ

バリエーションが

多彩だなというふうに思ってたんですけど、何か一つの例でもいいので、どういうプロセスを経て、作品が完成されていくのかっていうところを、ちょっと自分で解説していただければなと思うんですけども。

山の模型でいいですか。

多分、

山の模型を作る方は、

この手順を踏むと思います。

そ、今コンピュータや3Dプリンターで作る人も多いと思いますけども、

本来等高線を

切っては重ねて、

ならして、

縮小版が出来上がるんですけど、

本来は雪山か夏の緑の山だけでいいんですけど、

これだとつまらないということで

着色したのがこういったカタチになったということです。

それは最初は地図から

そうですね。

日本はもう全国地図揃ってますから。

それを使って、

それを

材料は何ですかね。

ベニヤ板ですね、

切り抜いてコピーして、線を映して

それを今度、地道に切り抜く、重ねる

それの連続ですね、最大30層くらいになりますね、

まず形を作って、それに着色をしていく。

着色の材料は何ですか。

本当に

身近なもので

ホームセンターとかで売っているカラースプレーだとか、

アクリル絵の具とかそんなものですかね。

それを試しながらパレットにしながらも色を付けていって、気にくわなければ

溶剤で溶かして、

それの連続ですね。

元々下絵でこういう色をつけましょうということがあるのではなくて、最初からもうダイレクトに色を入れて、

駄目でも消せますから。

ただ、完璧に消えないんでそれが重なっていくグラデーションという面白さがありますよね。

それも面白いかなと。

あとやっぱり立体の特性っていうか、

液体は流れるんですよ。谷に沿って。

それは地形の成り立ちと同じで、自然美と同じなんですよ。

だから自分の意思じゃなくって、ないから面白いっていう

ところがあるのかなって思います。

ただし、非常に地味な作業で、

苦痛ではあります。

まず制作を始めてから、一つの作品が完成されるまで、どのぐらいの期間が

製作期間として、取ってるんすか。

だいたい平均すると2週間ぐらいで、1つのカタチにはなるかな。

あと大きさ的にはどのぐらいの作品。

あの山の模型で400×400くらいですかね。

今その山の模型の他に、同じ正方形のものがたくさん並んでたりとか、

一番こちら側に、

いろんなパターンの真四角の

作品を並べて一つの作品にしてたりとか、

そんなのもあったんですけど、それは

テーマは後から

つけたんですか。

そうです。

その一つ一つについて、

着想みたいのがあるんですか

一応インターネットとか見ると、

これ使えるなっていうネタはころがっています。それを具体的にやるとどうなるのかっていうとこでやってますね。うん。

例えばどういう手法を使ったりするんですか。

さっき、山の模型だったら地図から重ねていくという手法ですけども、その他にどんな

実際の葉っぱが載ってたりとか、何かアクリルで固めたようなそんなのもあったような気がするんですけど。

あれがぽんとできるのではなくて。

やって、その前にもう別の作品もあるんですけど、あれにいたる、

今回その作品

がないので

説明しづらいですけど。

とにかく、

ポンと行くんじゃなくて、

何かの手がかりは前の作品にあるんです。それをもう一点を

膨らましてるっていう。

だと作品として独立してるわけじゃなくて、何かこう、

連続しているそうですね。

必ずそうしてるわけじゃなくて、なるんですよ。

前のと変えていけばいいんですよ。

一つのスタイルを追求してるんじゃなくて、

スタイルの変化を遊んでるっていう

感じですよね。

これはもうヒントがあって、僕は

一番好きなアーティストはデビッド・ボウイなんです。

彼の言うには、

毎回アルバムは変わるんですけど、

前のと違いさえすればいいんだっていう。

考え方です。

これはデビッド・ボウイだけじゃなくて、

ピカソとか

マイルスデイヴィスとかああいう巨匠に至ってもやっぱり同じだと思うんですよ。

変わるべきっていうか、

変わって当たり前。

だと思っています。

飾ってる作品群ていうのかな、あれは、

やっぱり自分で所蔵してる。

その一部ということでいいんですか。

在庫してますはい。

一番製作期間が短かったもの。

または長かったもの。

それぞれどのぐらいだったんですか。

短いのがもう

アクリルで後ろからライトを当てている作品があるんですが

落書きていどの時間で作ったんですけれど

やっぱり時間がかかるのは山ですね、

それをやりたくないがために、平面になっているっていう。

でも平面でも、まるっきり平らじゃないですよね。なんかちょっと盛り上がってますよね。

はい、素材の

厚みがありますから。

僕は絵で表現はできないので、

絵ではないものを作るしかないんですよ。

じゃあ今度、

現代アートについて

聞きたいんですけど。

広倉柏さん的に、

現代アートの定義って、

どんものだと思いますか。

ボクはアカデミックに現代アートを学んだ経歴はないんですけども、

素人なりに解釈すれば、考え方の面白さを追求している分野だなと思います。

マルセルデュシャンから始まるんですけど、

その前まではやっぱり、

写し取るっていう

作業。

がやっぱり

比重が高かったんすけどね。

20世紀初頭あたりから、そこから離れることができたんじゃないんですか美術が。

そいうすると今度個人の表現

で試せるんで、

見たままではなくて、自分の内部を表現するという。

見ることができないものを具現化していく。

あと今回の、その一つ一つの作品のタイトルにもそんなところが表れてるんすか。

タイトルは

そうですね。

ほとんどこじつけといいますか。

イメージを

固定させないようなタイトルをつけて、錯乱さしてるっていう

ことですね。

山を山って言っちゃえばそれまでだし、

ジャズの

アドリブの曲に曲名をつけるのが難しいように

そいういう発想ですかね。

さっきマルセルデュシャンの話が、そこが何かターニングポイントですよっていうふうなことが、

お話あったんですけど、

マルセルデュシャンについてこんな作品がありますよ的なやつを紹介してもらっていいですか。

自分でも画力があって絵を描いてたんですけど、

途中からやめちゃいましたね。

なんでかっていうと、

絵を描く

概念から離れたかったんじゃないですかね。

職人じゃない生き方を模索していたんじゃないですかね、

だから、芸術家って言うのはその辺から始まるんじゃないかなって

ボクが一番好きなのは、

便器、「泉」ってやつですけど。

それ作ったことあるんですよ。

木で作ったんですよ。ベニヤで。

それを三つ作って、

1個くらい成功するかなと作ったんですけど

全部は同じに成功したので、

赤白青

のトリコロールにして

飾ってます。

どうしても一般の人からすると、現代アートの展覧会とか見に行くと、

難しいっていうイメージがすごくあるんですけど、その楽しみ方というか、

こんなふうにしてみると、もっとなんか腹落ちするというか、何かこれ、すっと入ってくるなっていうふうな

もののヒントというか、

楽しみ方の一つ、こんなふうにして観てくださいねっていうのがあれば教えてください。

現代アートが難しいと

私も最初思ってました。

難しいというか縁のないものだと思っていました。

しかし、

縁がないならないで、何回か段を踏んでいくと、自分の好みが出てきますよね。見えてきます。

もっと自分の好みに合うものがあるのかっていうふうに探求し始めるんですよ。

能動的に回り始めるんですよ。

僕の展覧会来て、

わからないと。

難しいとは思わないけども、

ピンとこない。

という方はおられますけども、

それは作る手がわかってもいないんで、

当然だろうとは思いますね。

もうわからないということは、

自分の中に

それを解釈するセンスがないっていうことなんで

刺激されてるわけですよ。

わかるようになりたいかっていう問いを突きつけられる。

という風に思いますね。

また、

時がたてばわかるときもあるんですけど、

ジャズも最初わからなかったですね。でも徐々に染み付いてくる。

というか身体に入ってくるというか。

徐々にわかってくるときの楽しさがこの美術の一番のエッセンスかなと思います。

今後の予定とか、こういう作品を作ってみたいとかそういう展望でもいいですし、具体的に決まっている作品展の予定とかももしあれば、

教えてください。

今後の予定はまず春に

銀座の画廊さんから声をかけていただいてます。

グループ展なんですが。

具体的に何月とかありますか。

それがねコロナでちょっと

不確かになって

銀座の個人ギャラリーですかね。

その後はまだ入っていませんけれど

できれば

新作も

出したいと思っています。

どういうものを作っていきたいかっていうのは、

ズバリ言うと、

今まで作ったものでないものに

なります。

繰り返すのは苦痛なんでできません。

ありがとうございます。

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