【ユタカの部屋VOL.45 森進一氏】
ウジイ(以下 ウ:)森進一さんです。よろしくお願いします。
まずは森進一という名前がとても印象的なのですが、なぜ進一という名前をつけられたか、ご両親から名前に対する思いとか、こういう人になって欲しいとか、そんなことを聞いたことはありますか。
森(以下モ:)聞いたことは、ないですね。
ウ:森進一という名前を気に入ってますか。
モ:うーん、気に入ってないです。なぜ親に聞かなかったかっていうのは、小さい頃から超有名人と同姓同名だから、周りの友達からバカにされたっていうのもあって、社会人になるまであまりいい思いをした経験がないんです。ただ、後でボクシングの話になりますが、後楽園ホールでのデビュー戦で、リングアナウンスのときに私の名前が呼ばれると、皆ワーッて盛り上がってすごいなぁみたいな。同姓同名だから上がった歓声なんですよね。もちろんメディアってのはそういう面白おかしいのを取り上げる傾向があって、取材依頼が来たりとかあったので、この名前で少し有名になれたのかなっていうのもあって、ちょっとこれも良かったのかな、なんて思ってきました。
ウ:デビューが後楽園ホールと先ほどお聞きしたんですが、ボクシングとの関わりについて、いつ始めたとか、こういう階級でプロでこんな成績だったとか。そういうこともちょっと教えてください。
モ:学生の頃辰吉丈一郎選手が大好きだったんですけど、辰吉選手がタイの選手に負けた試合があって、テレビで見てて悔しくて。なんか自分がやったら勝てそうな感じがしたので(笑)ボクシングを始めて相手をやっつけてやろうって思ったのがきっかけです。もちろん小学校のときに「夢はプロボクサー」って文集にも書いていたくらいですから、いつかはプロボクサーになりたいなとは思ってました。辰吉選手の試合を見て、プロのボクシングジムが近くにあったらやりたいなと思ってたら、偶然、当時住んでいた近くにちょうどあったので、ジムに通い始めました。
ウ:初めて通ったジムっていうのはどこにあったんですか?
モ:埼玉です。東京の学校に行って埼玉の寮にいたのですが、5分ぐらい歩いたところにジムがあって、そこでトレーニングを始めて、試合に出ました。試合に出るにはプロテストを受けて合格しないと駄目なんですが、小さいジムだったので、半年くらい練習を一生懸命すればプロテストをギャンブル的に受けさせてくれました。
ウ:最初はアマチュアから始めたとかじゃないんですか?
モ:はい、いきなりプロになろうとジムで始めました。高校の時は帰宅部で何もしてなくて、半年ぐらい一生懸命やったらジムの会長からプロテストを受けないかと言われたので、まずは1回受けました。もちろん落ちましたけどね。
ウ:プロのテストって全くわからないんですが、どんなテストなんですか。
モ:まず筆記試験があります。筆記試験では、「あなたの好きなパンチを答えなさい」とか「あなたの知っている選手を答えなさい」とかそういう誰でもわかるような筆記試験です。それを受けて、あとは2ラウンドのスパーリングの実技をやるっていう流れです。
ウ:それで合格不合格の判定っていうのはどんな感じで行うんですか。
モ:3人ジャッジがいて、基本ができてるかいないか、体力があるかないかっていうのをスパーリングで見るという判定です。半年しか練習やってなくて受けたのでもちろん体力もないし、技術もないし。大きいジムの
選手は2年ぐらいちゃんと練習してから、間違いなく合格できるような人だけをテストに出すので、私なんかはもちろん受かるわけがないんですよ。当然ですが1回目は落ちました。
ウ:何回チャレンジしたんですか?
モ:4回です。1回落ちると健康面から次は2ヶ月受けられないんですよ。受け始めてからちょうど1年でプロテストに合格しました。
ウ:プロテストを合格してプロとしてデビューしたのは何歳ですか。
モ:20歳です。
ウ:デビュー戦のことは覚えてますか。
モ:何となく覚えてます。
ウ:どんな相手で、どんな結果でしたか??
モ:当時、米倉ジムっていう大きなジムがあって、そこに所属している同じデビュー戦の相手と試合をしました。試合の時に相手はガウンを着てきたんですよ。私は何も持ってなくて、裸一つでリングに上がって、ボクシンググローブは支給なんですが、トランクスとシューズだけで試合に臨みました。
勝てるつもりはなかったんですが、相手を殺す気で向かったらなぜかTKO勝ちしてしまいました。TKO勝ちっていうのは戦っている途中でレフリーストップが入るという形なんですが、そんな状況で勝ってしまったんです。
ウ:デビュー戦は何回戦で何ラウンドKOだったんですか?
モ:4回線で2ラウンドです。
ウ:ボクシング仕組みというのは、勝つとランキングが上がっていくような感じですか。
モ:4回戦っていうのは4ラウンドしかないというランクなんですが、4回戦はCランクなんですね。そして4回戦で4回勝つとBランクの6回戦って上がるんですよ。Bランクは6回戦、8回戦まであるんですけど
その上がAランクで10回戦ってなります。4回戦で4ラウンド勝てばBランクに行く。Bランクで6回戦だと2回勝つと8回戦に行く。8回戦でまた2勝するとAランク10回戦に行くという流れになります。
勝ち続ければ早く上がるし、負けが入るとその分遅くなります。
プロは半年に1回ぐらいしか試合ができないので、勝ち続けないと難しい世界なんです。
ウ:森くんはどこまでいったんですか。
モ:1回戦しかしてないです。自分のときはあんまり感じなかったんですけど、試合を生で見るとものすごい音がするんですよ。人の試合を見たときに恐ろしくなってしまって。こんな状況で、自分でも強いと思ってなくて、プロのセンスというか違いがわかってしまって、これはもうやっていけないなと思って、もちろん就職も決まってたので、就職の道に進むしかないかなと思ってやめました。
ウ:そこで一旦ボクシングはやめて、就職はどこにしてますか。
モ:村山市の株式会社矢萩土建です。親が就職先を決めてくれてたので。
ウ:こちらの一二三建設に戻ったのは何歳の時ですか?
モ:30歳ぐらいだったと思います。
ウ:そのときはもう跡継ぎとして?
モ:はい。
ウ:今度、このボクシングジムを建てるわけですけども、ジムを始めるきっかけとか思いとか、そういったことを教えてください。
モ:ちょうど元の事務所が古くなってきたり狭くなってきたっていうのがあって、まず社屋を新しくしたいっていう思いがまず最初にありました。どうせならついでにジムを作れないかな、なんて考えていたら事業再構築補助金という存在を知ったので、それを利用してフィットネスジム兼ボクシングジムを作ろうという考えに至りました。
ウ:資金面も含めて、誰かに相談に行ったとか、その経緯を教えてもらっていいですか。
モ:まずは妻にプレゼンしました。それで、そんな馬鹿な話するなみたいな返事だったんですが、青年会議所(JC)での経験もあって、そこでの上程案並みのプレゼン資料、事業計画を作って、これぐらいやれば利益が出るまで全部作った上で、なんとか妻から認めてもらいました。
妻から承諾をもらったので、今度は金融機関(北郡信用組合)に出向いて、こういう補助金があるけどもサポートしてくれないかということで、資金も含めて相談しました。そこで協力していただけたので、一緒に事業再構築補助金の事業計画を練りました。
ウ:それが採択されたので建物と、フィットネスジムの設置施設を作ったということでですか。
モ:そうですね。
ウ:ただ施設を作っただけではなく、運営を続けなくてはいけないですよね。そこまで見越して計画を立てたと思うんですけど、運営はどんな形で行ってますか?実際にプロを目指す人を育成するのか、フィットネス会員として人を集めようかと思ったのか、どっちを目指してますか。
モ:ガチのプロのボクシングジムを目指すということは最初からなくて、あくまでボクシングの基本や楽しさを子供たちに教えたいというのと、中高年向けの趣味としてのボクシング。そんなボクシングジムを作りたいと思っています。あとはやっぱり高齢者が多いので、それに合わせてフィットネス機器や健康器具を取り入れて、どんな形でも対応できるように健康維持のために通えるジムを目指しています。北村山地区にジムフィットネスジムがなかったので、これは興味持ってもらえるんじゃないかと思って作りました。また当時PTA会長をしていたんですが、部活動存続の問題があって、先生方から子供たちの行き先がないっていう話を伺って、うちでクロストレーニングの一環としてできたらいいんじゃないかなって教育委員会ともお話ししました。また大石田町役場を通して、おじいちゃんおばあちゃんのニーズも聞きながら施設の内容を考えました。
ウ:オープンしたのはいつですか。
モ:オープンは令和5年の7月7日です。最初の会員さんが40人ぐらい入りました。
ウ:年齢構成比とか、男女比とか教えてもらっていいですか。
モ:はいおじいちゃん、おばあちゃんが20人ぐらいですかね。あとは、この事務所に関わった業者さんがサポートしたいっていう意味で、法人会員的な意味を込めて応援で入ってくれました。また、ボクシング会員としては30代40代の男性が体験会だけで20人ぐらい通ってくれてました。
ウ:フィットネスというと、器械を使ったりウエイトを使ったりというイメージはできるんですが、ボクシングを含めたフィットネスっていうかトレーニングってどんなことをするのか教えてもらっていいですか。
モ:ボクシングの練習をするともう疲れてフィットネスどころでなくなってしまうんですよ。
ボクシングとフィットネスはわかれた感じで運動するようになります。ボクシングは3分間を連続して運動して1分と休むというトレーニングなので、それを一通りやると1時間でヘトヘトになってしまうので、それからまた筋肉トをする人なんか誰もいないです。ウォーキングをする人と、ボクシングをする人とはキチンと分けてやっています。
ウ:今ボクシングを実際やってる人って何人ぐらいですか?
モ:本気でやっている人は5人くらいです。
ウ:それは健康維持のためとかそっちの方ですか、それとももう本当に試合に出たいとか……
モ:やってみたかったという中年のおじさんがほとんどです。小学生が1人2人います。小学生は将来有望だと今のところは思ってるんですが、遊びが忙しいんだよと、なかなか最近来なくなったりしてますね(笑)
ウ:ボクシングジム、フィットネスジムを運営している立場から、ボクシングの魅力について教えてもらいたいです。
モ:ボクシングというと殴り合うようなイメージがあってとても怖いようなイメージがありますが、実際ミット打ちとか、スパーリングとかやってみると、みんな面白いって言われます。
ストレス発散なのかどうか、私もそうなんですがボクシングって実際の試合よりも練習が面白いんです。練習すればするほど強くなる。サイヤ人のような(笑)そんな感じがあってやればやるほど楽しくなる。覚えれば覚えるほど面白くなる。部活動とかのボクシングとかと違って義務的な練習ってないので、自分の好きなように練習できるんです。
ボクシングを好きになれば、もうとことん好きになって強くなれる。というのがやっぱり最大の魅力なんじゃないかなと思っています。
女性でも大丈夫です。今、高校生の女の子が通ってます。柔道とのクロストレーニングでボクシングをしてる子がいますよ。その女の子は高校の柔道部で、ここでボクシングもやっています。すごいですよ。実際に見てもらいたいぐらいかっこいいですよ。
ウ:プロデビューさせたいなという夢はありますか。
モ:親には言ってます。柔道を辞めて女子ボクサーになれと。その方がいいよと(笑)
ウ:ここのボクシングジム紹介をお願いします。
モ:はい。大石田町にぽつんとあるジムですが、フィットネスジムのマシンに関してはオリンピックの選手村にも使われたような最新のフィットネスマシンも用意してあります。ボクシングに関してはミズノ社製のウイニングという一流のメーカーの道具が全て揃っておりますので、アマチュアから本格的にやりたい人まで、いろんな方が利用できるジムだと思っております。
ウ:興味がある人はどうすればいいですか。
モ:興味ある人はとりあえず体験に来てください。体験は無料です。ぜひ見るだけでもいいので来ていただきたいです。見学でも体験でも、ボクシングならスパーリングの体験もできます。
ウ:見学や体験の申し込みをするにはどうすればいいですか。
モ:電話でご連絡下さい。もし本格的に体験してみたいのであれば、上履きだけ持ってきてください。
ウ:わかりました。ドラゴンラッシュっていう名前ですが、込めた想いがあれば教えて下さい。
モ:Dragon Ash(ドラゴンアッシュ)というバンドがありますが、これを分解すると、Drag on Ash(ドラッグ オン アッシュ)っていう言葉になって、モタモタしてたら灰になるっていう言葉なんです。私も50になるのでモタモタしてられないなと、その言葉そのままはちょっとまずいなと思ってラッシュにしました。
ウ:お休みはありますか。
モ:一応ないです。正月休みはありますが、不定休となっております。ご興味ある人はご連絡ください。
ウ:ありがとうございます。